ドイツのエネルギー政策の崩壊が始まった? 現在、風力発電業界でも数千人が解雇されている。
ドイツで最後の3基の原発が止まったのが23年4月15日
当時はエネルギー危機の真っ最中で、専門家のみならず、元来、原発アレルギーの激しかった国民の間でも、原発の稼働延長を支持する声が上がり始めていた。
しかし、ハーベック経済・気候保護相は、「ドイツには電気の問題はない」、「脱原発で失われる電力はさして重要ではない」と主張。
絶好調で動いていた最後の3基の原発を止め、緑の党の悲願である脱原発を果たした。
結果、電気は供給が不安定化し、さらに料金は高止まりで、問題がないどころか、今では産業の足を引っ張る最大要因となっている。
しかも、電力不足を補うため、予備用の古い石炭火力まで動員している始末。
この現状にキケロ誌が「経済省がなぜこのような不毛な政策を進めたのか?」との質問状を送った。
その根拠を知りたいと思ったのはキケロ誌だけでなく、国民も同様だった。
ところが経済省はキケロの要請を事実上、拒否。守秘義務を盾に、なけなしの資料しか出さなかった。
そこで、キケロはベルリン市の行政裁判所に訴え、その結果、23年9月25日、同裁判所が審理を進めるため、経済省に情報の提出を命じた。
ところが、その半年後の今年の3月末、経済省がようやく出してきた資料は、多くの部分が黒塗りだったので、現在、キケロが再度、提出を求めるという事態に発展している。
ドイツの風力発電事業に陰りが見えはじめた?
まず電気自動車メーカーの倒産、そして現在はシーメンスの風力発電部門での大量解雇。
※シーメンスは1879年に世界初の電気鉄道を公開し、1925年に水力発電による電力供給の実現など、人々の便利な生活を支えてきた電機メーカーです。 世界190カ国で産業・インフラ・交通・輸送・医療などの分野でビジネスを展開しています。 日本では1887年に事務所を開設し、現在では複数のグループ企業があります。
「経済の奇跡」をもたらすはずだったエネルギー転換が、数十億ドルの国費注入にもかかわらず同社を動揺させている。
米ビジネス媒体ブルームバーグ の報道によると、シーメンス・エナジーは4100人の人員削減を計画している。
シーメンスガメサの風力タービン部門が影響を受ける。このため、同社はすでに従業員代表と構造変更について協議を行っている。
ドイツ、デンマーク、スペインが特に影響を受けています。そこでは370人、550人、430人の雇用が削減される予定だ。シーメンス・エナジー自体は、ガメサの再建策について交渉を開始したことを認めただけだ。
ただし、結果は関係者全員との協議を経て発表されます。連邦政府は最近、同社に 75 億ユーロの税金を注ぎ込みました。
それでもショルツ首相は、エネルギー転換が経済奇跡をもたらすなどと言い張っている。
2023年3月、オラフ・ショルツ首相は、気候保護への数十億ドルの投資が、1950年代と1960年代の経済奇跡のような輸送とエネルギーの転換を通じた成長率につながると発表した。
むしろ、電気料金の高騰により、ドイツは先進国の中で最下位となり、成長率はマイナスかゼロしかありません。
伝統産業の産業空洞化は、グリーン企業に対する数十億ドルの補助金によって相殺されるべきである。
再エネが経済の足を引っ張る
しかし、電気自動車の販売がすでに大幅に落ち込み、雇用の喪失につながったことを受けて、ドイツの風力タービン市場をリードするシーメンス・エナジーも現在、低迷し始めている。
シーメンスガメサは長い間巨額の赤字を抱えてきた。風力タービンの欠陥により、数十億ドルの損失が発生しました。
畑や伐採された森林(「陸上」)でシステムを構築する崩壊中の風力発電事業は、今後はドイツと米国にのみ集中すべきである。
シーメンス・エナジーは現在、世界的に、海あるいは海岸における風力タービンの需要の風が吹くことを期待している。
緑の党は今もこのエネルギー路線を死守。何が何でも再エネを拡大するつもりだ。
再エネは適度に使うのは良いが、増えすぎた時の不都合を、彼らは完全に無視する。もはや彼らはカルト集団となっている。
ドイツでは、今でさえ、370万枚の太陽光パネル(24年1月現在・連邦統計庁の資料)と3万本の風車が、太陽が照り、風が吹くと、一斉に発電を始める。
電気は常に需要と供給のバランスを取らないとならないため、需要分を超えて系統に流れ込んだ電気は、即刻、どこかに逃さなければならず、隣国にお金を払って引き取ってもらうケースも珍しくない。
たとえば5月半ばはそれが8日も連続で起こった!ただし、そういう日でも、太陽が沈むと状況は一変する!
陽が沈むと火力をフルに立ち上げ、さらに足りない分は隣国から、今度は通常の何倍もの値段で買うことになる。
要するに、ドイツ自慢のエネルギー転換は、他国の原子力と自国の火力にどっぷり依存している。
しかも、この不幸な状態は、供給を制御できない再エネを増やでば増やすほど悪化する。
しかし、ハーベック氏の目標は、現在3万本の風車を10万本に増やすというものだから恐れ入る。
彼らはカルトに洗脳された信者のようだ。
しかし教祖や信者でもない者の中にも、この信じられない政策を支持するものが確かにいる。
彼らは至って冷静であり、国が困ろうが自分の懐さえ肥えれば良いと言う連中だ。
1)決まった収益を保証されている再エネ発電者
2)安価な、あるいはお金付きの電気をもらう外国の購買者
3)破格の値段でドイツに電気を売る外国の発電者
4)需要と供給の安定保持に従事するドイツの系統管理者だ。
そして、これら膨大なコストが、すべて国民の支払う電気代に「配・送電系統使用料」として支払わされる。
ドイツのメディアはいまだに政府を庇い、国民はミスリードされたまま。だから、現在の状況さえ我慢して切り抜ければ、そのうち再エネ100%で電気代がタダになると信じている人も多い。
日本もまたドイツに似て、政府とメディアは再エネをお題目のように唱え、増えたコストは「再エネ賦課金」として国民が支払わされる。
日本の場合、そのうちの相当分が中国に渡っていることは周知の事実である。