人材派遣
お仕事探しをする場合、手っ取り早く探せるのは人材派遣会社を利用すること。
派遣会社は沢山の企業や事業所と契約しており、あなたに合ったお仕事を選別して素早く紹介してくれるでしょう。
難点は、契約は人材派遣会社との契約のため、手数料を取られますし、就業先も頻繁に変わることですね。
ですから、アルバイト的とかパート的なお仕事を探している方に向いている探し方です。
長期にわたり生活基盤を築くためなら(結婚、子育てなど)最初から正社員になれるところを探すことをお勧めします。
短期的にとか主婦などが補助的にお仕事を探している方に向いています。
また、かつては、人材派遣業は特殊なスキルを持った、いわば普通以上な一段高度な技術や職能を持った方々を紹介するシステムでしたので、今では少なくなりましたが、以前のようなシステムで紹介するところもあるかもしれません。なので、高度な職能を持っている方はあらかじめ相談するとよいでしょう。
労働者派遣法について
1985年3月19日に第102回国会に上程された労働者派遣法案は、一部修正があったものの、4月16日に衆議院社会労働委員会に付託、5月17日の衆議院本会議で可決、5月23日に参議院社会労働委員会に付託、6月7日に参議院本会議で可決、7月5日に「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(昭和六十年七月五日法律第八十八号)として正式に公布に至りました。
1978年に行政管理庁から「民営職業紹介事業等の指導監督に関する行政監察結果に基づく勧告」がされてから実に7年の歳月を経て国会での可決に至ったということになります。
その後、今日に至るまで何度となく改正が繰り返され、その都度、人材サービス市場に変調をもたらしています。
また、労働者派遣法に関連する規制もしばしば改正され、規制色が強ければ強いほど、労働者派遣事業者のみならず、派遣労働者、派遣先企業が翻弄されてきたことも事実でしょう。
初期の人材派遣における法改正の推移
1985年(昭和60年)労働者派遣法制定
労働者派遣法の制定時には、専門的知識などを必要とする業務、特別の雇用管理を要する業務など、以下の13業務が適用対象業務として定められ(ポジティブリスト方式)、解禁されました。これは日本的雇用慣行の維持を目的とし、常用代替のおそれの少ない業務、つまり、派遣先企業の社員の雇用を代替しないように、派遣労働者の業務を一部の職種、あるいは一定の期間に制限することが意図されています。
つまり、被派遣者は派遣先企業自身では賄えない特殊で高度のスキルを持った人たちが高額で派遣されたものが実態です。
1号 ソフトウェア開発
2号 事務用機器操作
3号 通訳・翻訳・速記
4号 秘書
5号 ファイリング
6号 調査
7号 財務処理
8号 取引文書作成
9号 デモンストレーション
10号 添乗
11号 建設物清掃
12号 建築設備運転・点検・整備
13号 案内・受付・駐車場管理等
・1986年(昭和61年)労働者派遣法施行
7月1日に施行され、その直後に、制定時点で定められた「政令で定める適用対象業務」の13業務に以下の3業務が追加され16業務となりました。
14号 機械設計
15号 放送機器等操作
16号 放送番組等の制作
・1986年(昭和61年)労働者派遣事業と請負の区分に関する告示
・1996年(平成8年)改正労働者派遣法施行
無許可事業主からの派遣受入などに対する派遣先への勧告、公表が制度化されるとともに、政令で定める適用対象業務が16業務から26業務へ拡大されました。
・1999年(平成11年)改正労働者派遣法施行
適用対象業務が原則自由化されました。それによって何でもありの派遣業者だけが繁栄する現在の姿に変貌します。
ただし、以下は適用対象業務から除外されました。
・港湾運輸業務
・建設業務
・警備業務
・医療関係の業務
・物の製造業務
・派遣先において団体交渉または労働基準法に規定する協定の締結などのための労使協議の際に、使用者側の直接当事者として行う業務
・弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士の業務
上記記載の業務は特殊な資格や経験が必要なため無理があったということです。
派遣法の改悪(わたしは個人的にそう思っています)は巷にあまたの派遣労働者を生み出しました。
派遣労働者数の推移
労働力調査は、2002年以降は総務省「労働力調査(詳細集計)」の年平均、2001年までは総務省「労働力調査特別調査」の8月調査によっています。
労働者派遣は、1985年法(1986年施行)によって、専門的力量が必要とされる13業種につき例外的に法認されました。
その後、1996年には26業 種に拡大され、1999年には原則自由化されて、例外的な場合のみ禁止される法制度に代わり、2004年には、単純労働であるので例外的に禁止されていた 製造業についても解禁されました。
グラフからわかるように、法改定されるたびに、派遣労働者数が急増しています。
その後、2008年のリーマンショックに より、数は急減します。まさに、派遣労働者(のみならず非正規労働者)が景気の調整弁であることが如実に示されています。
派遣労働が格差社会の元凶である との批判を受け、政権交代も間に挟んで、日雇派遣禁止の法律が成立しましたが、この法律は数の上では効果は上がっていないことが見て取れます。
(グラフ;総務省「労働力調査」より作成)