介護・福祉
日本に於いての介護観は、従来「両親は息子(特に長男)や親族が面倒をみるもの」という価値観でした。
ところが、少子高齢化や核家族化の進行、医療の進歩とともに、お年寄りの寿命が延びたこともあり、介護が「看取り三月」どころではなくなってしまいました。
俗にいう「老老介護」の問題が浮かび上がってまいりました。
そうです。もう昔のように、家族にによって看取ると言うことが困難になってしまったのですね。
そこで必然的に、介護は国や民間の介護施設で行っているというのが現状です。
介護のお仕事は大変で問題も山積みですが、人が人として天寿を全うするためには避けて通れないお仕事であり課題なのです。
より良い介護の実現のために、職場の改善や待遇はもとより、優秀な介護士さんの人材が求められているのです。
介護職の不足は喫緊の最重要課題なのに、介護の資格を持っているのに、その仕事に従事していない。そんなことを聞く場合が多いのです。
それは一番に介護職は重労働なのに薄給である。ということが挙げられます。
政府は、この度、社会福祉にはお金がかかる。との理由で消費税を10%まで引き上げました。ならば、今すぐでも、介護の待遇改善により予算を振り当てていただきたいものですね。
☆介護福祉士として賃金が高い上位TOP5の都道府県(参厚生労働省Hより)
都道府県 | 平均年収 |
1位 東京都 | 377.5万円 |
2位 神奈川県 | 329.8万円 |
3位 大阪府 | 326.1万円 |
4位 愛知県 | 318.3万円 |
5位 京都府 | 311.6万円 |
介護・福祉の仕事内容や資格について
介護職と言いますと大きく分けて以下の三つがあります。
☆介護士(ヘルパー)
☆介護福祉士
☆ケアマネージャー(介護支援専門員)
介護福祉士は介護職の中で唯一の国家資格が必要となります。
介護福祉士の資格があると、現場の責任者になったり介護の指導をしたりすることが可能になります。
また、さらにはステップアップしてケアマネージャーになると、介護を必要とする方が介護保険のサービスを受ける際に、
ケアプランを作成したり介護給付費の管理なども行えるようになります。
介護士(ヘルパー)の主な仕事内容
介護士(ヘルパー)の主な仕事内容は、高齢の要介護者の生活を日々サポートしていくことです。具体的には、以下の4つに分けられます。
☆身体の介護(入浴・排泄・食事・着替えの補助など)
☆身の回りの世話(部屋の掃除・洗濯など)
☆メンタル面のケア(話し相手になり一緒に遊ぶなど)
☆相談・アドバイス(要介護者の家族との相談・自宅での介護に関するアドバイスなど)
介護士の職場は老人ホーム・ケアホーム・病院などさまざまです。
介護士は、職場によって仕事内容や働き方がやや異なる事が多いため、事前によく説明を聞きましょう。
介護の主要資格について
1.介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は介護の基礎知識・スキルがあることを証明できる入門資格です。
初任者研修資格を取得していると、採用時に有利になったり、給与の面で優遇されることもあります。
最短1か月という短期間で取得できるので、これから介護職を目指す方にとって是非とも取得して欲しい資格です。
初任者研修資格取得にはスクールに通い、修了試験をパスする必要があります。
2.介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は、介護職員初任者研修の上位にあたる資格です。
実務者研修を取得することによりサービス提供責任者として働くことができる他、医療的ケアやたん吸引など実践的なスキルが身に付きます。
介護施設で働きながら介護福祉士を目指すためには、実務者研修の修了が必須のため、これから介護職でステップアップしていきたい方は、是非とも取得したい資格です。
3.介護福祉士(国家資格)
介護福祉士は介護職唯一の国家資格です。
介護職のキャリアパス最上位にあたる資格のため、取得難易度はやや高めです。
資格取得をする方法(ルート)として、介護福祉士実務経験ルート、福祉系高校ルート、養成施設ルートの3つがあります。
社会人が働きながら介護福祉士を目指すには、介護施設での実務経験3年以上と、実務者研修を修了するという2つをクリアし、国家試験に合格する必要があります。
働きながら介護福祉士を目指すには、実務者研修資格の取得が必要です。
実務者研修資格の取得にはスクールに通う必要があります。
4.ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護保険制度に基づき、介護が必要な方の心身の状況や周囲の環境などに応じて
、介護サービスを利用できるようにするためのケアプランを作成します。
数ある介護サービスの中から、利用者に合う介護サービスを選択して、利用者や家族への提案する仕事のため『介護におけるコーディネーター』という存在です。
仕事内容はケアプランの作成だけにとどまりません。特に介護が必要になった初期段階には皆さん知識がないため戸惑っています。
ケアマネジャーはそのような方に接し、介護サービス利用者がより良い介護を受けられるようアドバイスし
時には、路用者に代わり、事業所に代弁して意見を伝えることも多いです。
ケアマネジャーは長期の実務経験が必要な専門性の高い資格です。
またケアマネジャー(介護支援専門員)のことを略して「ケアマネ」と呼ぶことも多いです。
5.介護事務
介護事務の資格は、介護保険に関する知識はもちろんのこと、PCスキル(ワード・エクセル)や経理業務の知識などを学び、
介護サービス施設や事業所などへ勤務する上で必要であり介護福祉関係で活かすことができます。
介護事務の資格にはいくつか種類があり、民間団体によって学ぶ内容や試験なども多少異なります。
が、、習得できる技能に大きな違いは無く、ご自身が学びたい、必要だと思う内容などをチェックし、比較検討してみましょう。
日本における介護について
日本で「介護」という言葉が法令上で確認されたのは、1892年の陸軍軍人傷痍疾病恩給等差例からとなっています。
時の介護は、施策としてではなく、恩給の給付基準としての概念でした。
現在のような概念で「介護」という言葉が使われるようになったのは、1970年代後半からの障害者による公的介護保障の要求運動からです。
それ以前は「『障害者の面倒を見るのは親がやって当り前』という暗黙的な社会通念もあったのです。
それが当時と比べるとかなり施設や介護士の数も増え日常的になったのは、日本における貧しかった時代からの脱却した経済的余裕と、
少子高齢化による家族制度の崩壊とも無縁ではありません。
近年、介護保険が完備され今では当たり前のようになっています。が、その質や内容はまだ不足が多いのが現状です。
とくに、施設が不足していますし、民間と、公営との労働差や待遇差はひどいもので、政治的未熟さが浮き彫りになっています。
介護を受ける側の経済的格差でその待遇は天地の差ほどもあります。
この実態は、自由経済主義では当然と思われますが、 よく考えてみると、経済は経済のためにあるのではなく、人が生きてゆくための手であり、
目的ではありません。やはり人の尊厳というものを中心に置いた施策に方向を定めてほしいものです。
福祉は社会主義的なものが望ましいとも言えます。
しかし、かのソ連が崩壊したように、経済が崩壊すれば、理想だけでは砂上の楼閣となってしまいます。
幸い、日本は、自由主義経済であり、経済力はまだまだ発展できます。
福祉は金食い虫のようですが、やがては誰でも、一時であるとしても障害者になり、誰かの世話にならねば自身の始末ができません。
日本経済の発展はバブルがはじけて久しく、長い停滞期に陥っていますが、それに比して企業の内部留保はバブルの時よりはるかに多く
すでに446兆円と途方もない額に膨らんでいます。
企業はどのようにして巨額の内部留保を貯めたのでしょうか?
その一部は多分に、従業員や下請け企業が手にするべきものであったとわたしは思うのです。
そういう意味では、その内部留保の一部は、介護に回しても罰は当たらないと思います。
その実現は経営者一人一人の志が「経済は企業のためではなく、人が生きてゆくための手段。
人間の尊厳を大切にする経営」に目覚めなくてはならないと思うのです。
介護、福祉はもっともその志が反映されるべき仕事と思います。
介護部門の外国人労働者
日本と諸外国との間で締結された二国間経済連携協定(EPA)により、2008年以降、看護師のほか介護福祉士(候補者)が来日し、日本国内で活動するようになっています。
2014年までの対象国は、インドネシア・フィリピン・ベトナムです。
2014年には、2,000人でしかなかった規模でしたが、2018年の政府の指針では、外国人労働者を後5年間で最大34万5,150人を受け入れ、
そのうち、介護の分野では6万人を受け入れる方針です。
その指針を受け、私の知り合いのインドネシアのある送り出し機関では、看護学校を立ち上げ介護等の教育、日本語の教育を施しています。
そのうち日本語を理解し、介護の資格を得たインドネシア実習生が、あちこちの介護施設で出会うことができるでしょう。
外国人に介護をゆだねなくてはならないのは、人材不足にあるといわれています。
ちなみに、東京都の試算では、都内における介護職員数は、2025年度には、約3万5千人の介護職員の不足が見込まれると言われています。
全国で見たら、いったいどれほどの職員が必要なのでしょうか?
そんなことを考えると、日本は、介護職員の数が足りないと思うかもしれませんが、否、その理由は
介護の現場はハードでありながら、待遇が極めて低いことに原因があります。
例えば知り合いに介護の仕事をしている方が何人かいますが、全く話にならない金額です。
結婚なんてできませんし、子供なんてもってのほかの待遇です。
それでも公的の介護施設はまだ良いようです、民間がひどいです。
官、民の格差をなんとかできるのは政治しかありません。
そこのところを、政治家や官僚はどうして分からないのでしょうか。特権階級のエゴでしょうか。
国に福祉のお金はないそうです。2019年10月には消費税を上げて、それを福祉に回すといっています。
本当でしょうか?職員の待遇はどれほど良くなるのでしょうか?
介護の現場は、今や待ったなしです。高齢化がますます進み、介護を必要にする人たちが増える。
施設と人材は足りない。待遇は改善されない。悪循環が続きます。
ここはやはり、内部留保をため込んでいる企業の人間性と社会的責任に期待したいと思います。
そうです、あなたも、どなたも、金持ちもそうでない人も、一生にたとえ一時であっても、他人の世話にならねば生きられず、死ぬこともできません。
お金は人のために、生きている時にこそ使って生きて、使わねば何のための蓄財か!?
これは企業人にも、個人にも言えることではないでしょうか。
居住者が介護付き老人ホームについて持っている主な苦情
日本全体で、数百万人もの高齢者や身体障害者が、老人ホームや高度なケア施設でケアを受けています。
これらの施設は概して、患者が必要とする思いやりのある正確な医療を提供しています。
残念ながら、最高の老人ホームでさえ、居住者や家族からの苦情に直面します。
老人ホーム産業の現状
老人ホーム業界は常に課題に直面しています。これらの課題は、絶え間なく変化する規制、利益の減少、人員不足という形で現れます。
もちろん、これらの要因により、スタッフはより少ないリソースでより複雑な治療を行うことが期待されるため、ケアが不十分になる可能性があります。
特別養護老人ホームでよくある居住者の苦情
介護施設入居者からの苦情の中には、入居者や家族の目には質の高いケアが欠けていると認識されていることを示すものもあります。
一般的な苦情は次のとおりです。
通話への応答が遅い
居住者が社内通話システムを使用して助けを求めた場合、応答時間はさまざまです。
スタッフ メンバーの作業負荷は非常に高く、患者が要求するほど迅速に対応できない場合が多くあります。
これは、患者が自分のニーズがタイムリーに対処されていると感じていないため、かなりの数の苦情につながる可能性があります。
食品の品質が悪い
すべての医療施設の悩みの種である食品に関する苦情は、品質と種類の両方において、近年増加しています。
健康的で栄養価の高い食事オプションを提供しながらすべての好みに対応することは不可能ですが、介護施設は食品の品質の問題に積極的に取り組む必要があります。
人員配置の問題
一部の施設では、深刻な人員不足と既存スタッフの高い作業負荷に直面しており、これらの介護施設の患者は、自分のニーズが満たされていないかのように感じることがよくあります。患者の持ち上げ装置、訓練を受けていないスタッフ、およびケアの提供とスタッフの応答性に関連する多くの問題に関して、苦情が発生します。
社会的相互作用の欠如。多くの高齢患者は、周りの世界から孤立していると感じるようになります。
家族との面会の減少がこの孤立感の原因であることが多く、患者は社会的交流においてスタッフが家族の代わりになることを期待するようになります。
残念ながら、スタッフには時間がなく、この役割のトレーニングを受けていない可能性があります。
睡眠障害
ケアは介護施設で終わることはありません。これらの施設は、居住者に 24 時間体制のケアを提供します。
スタッフがバイタルサインの測定や薬の配達のために立ち寄ったときなど、睡眠が中断されることはよくあることです。
居住者は、隣人がうるさいことや、夜間の労働者間の会話についてさえ不満を言うことがよくあります。
一般的な苦情への対応: 賠償責任の軽減
先見の明のある老人ホームと高度な介護施設は、彼らが医療提供者であるだけでなく、顧客サービス指向の運営でもあることを理解しています。
苦情に対処し、サービスを改善するために、これらの施設の多くは独自のアプローチを採用しています。
ポリシーと手順の定期的な見直しは、通常、苦情を減らすための最初のステップです。
多くの施設は、通常何らかの形の調査手段を通じて、患者と家族の意見を求めます。
この情報を使用して、施設は一般的な苦情に対処するためのイニシアチブを作成できます。
前述のように、食品関連の苦情は、どの医療施設でも非常に一般的です。
これに対処するために、施設は多くの場合、4 週間のローテーションなど、長期の食品ローテーション スケジュールを作成します。
これらの施設は、より高品質の食品ベンダーを探し、潜在的な苦情を回避するために食品のプレゼンテーションを強化することもできます。
スタッフのトレーニングと再トレーニングは、介護施設の保険と同様に、リスク管理の重要な部分です。
スタッフが専門的なケアを提供するために必要な知識とスキルを備えていることを確認することで、苦情は激減する傾向があります.
これらの実践により、介護付き老人ホームは、そのサービスに依存している多くの患者にケアを提供し続けることができます。
新たな苦情に対応することは、強力なリスク管理ツールであり、ケアの質と多くの高齢者の生活を改善するのに役立ちます。