高齢者の自動車事故ばかりが強調されてニュースになるのはなぜ?年齢別の事故率は?10代・20代と高齢者、どっちが高いの?
交通事故は年間30万件以上発生している!
毎日どこかで交通事故があり、その内容は軽微なものから重篤な死亡事故までいろいろです。
下記は2022年の一年間に起きた事故のデータです。
- 発生件数 30万839件
- うち 死亡事故件数 2550件
- 重傷事故件数 2万4799件
- 軽傷事故件数 27万3490件
- 死者数 2610人
事故件数は、一日平均824件にも上ります。そのうち、毎日7.1人もの死亡事故が発生しているのです。
交通事故の原因は様々ですが、原因のランキングを書き出すと以下の通りになります。
- 5位 信号無視
- 4位 通行区分違反
- 3位 スピード違反
- 2位 歩行者妨害等
- 1位 安全運転義務違反
となっています。
交通事故でニュースになるのは、高齢者による事故がとても多いと感じるのは私だけでしょうか?
かつて、ミサイルプリウスと言われた時期があり、これなどは高齢者の事故の代名詞としても用いられていたようです。
プリウスは車好きな方からは、さほど褒められてはいない車種です。運転していて面白くないからでしょう。
車はA地点からB地点へ移動するためのツールではありますが、運転する喜びを感じる事もまた事実です。
残念ながらプリウスはそのような範疇からは少し外れる車と言ってよいでしょう。
こんなことを言うと、トヨタさんやユーザーさんに怒られそうですが単に燃費が良いと言うだけの車です。
65歳以上の購入比率が高いクルマは軽自動車などプリウスのほかにも存在しますが、65歳以上のクルマの購入台数でいえばプリウスが最多です。
ですからプリウスが事故を起こすと高齢者による事故になり、悲惨な事故のほとんどがアクセルとブレーキの踏み間違いの事故であり、ゆえにプリウスミサイルなどと言う不名誉な称号が与えられてしまいました。
交通死亡事故の人的要因をみると、75歳以上の高齢者による事故原因はハンドル等の操作不適による事故が最も多く、次いで内在的前方不注意(漫然運転等)、安全不確認の順に発生していると言います。
一方で,75歳未満の運転者では内在的前方不注意、安全不確認が比較的多く発生しているようですね。
高齢者の事故原因でよく言われるアクセルとブレーキの踏み間違いの事故はどこに当てはまるのでしょうか?
いまでは、アクセルやブレーキの踏み間違いによる事故防止のための防止装置やレーンアシストが装備されている車も多く、高齢者に拘わらず採用すれば事故は劇的に減るはずですね。
いずれにしても、現時点では、1年のうちに交通事故で死亡する確率は、1回のジャンボ宝くじで1等に当選する確率より450倍も高いのです。
ここでは、その交通事故のうち、ニュースになるような重篤な事故は本当に高齢者だけが原因で起きているのかそこのところを検証してみたいと思います。
以下、自動車事故徹底ガイドより引用
自動車保険は事故率が高い10代や20代の保険料が高くなっています。
実際のところ、10代や20代は他の年齢代と比べてどの程度事故率が高いのでしょうか?
また、最近は高齢ドライバーによる事故の報道も増えています。高齢ドライバーの事故率と若者の事故率はどちらが高いのでしょうか?
年齢層別の交通事故率
原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たりの交通事故件数を警察庁「令和5年中の交通事故の発生状況」より紹介します。
なお、「原付以上運転者」とは、自動車、自動二輪車および原動機付自転車の運転者のことをいい、「第1当事者」とは、最初に交通事故に関与した事故当時者のうち最も過失の重い者をいいます。
年齢別事故率(令和5年)
上図の通り、免許所有者10万人当たりの事故件数は16~19歳が1025.3件と飛びぬけて多く、次いで20~24歳の589.5件、85歳以上の519.9件が多いです。
35歳~69歳はほぼ横ばいですが、70~74歳から事故率が上昇しています。
高齢者の事故が増えているように感じるのはなぜ?
高齢者の交通事故について報道の影響から増えているように感じている人も多いと思います。
確かに直近の2、3年はコロナ禍で大きく下落した反動で若干交通事故件数が増えていますが、それは高齢者に限ったことではありません。
長期的なトレンドとしては高齢者の交通事故件数は減少しています。
高齢者人口の増加の影響を除くために免許保有者10万人当たりの事故件数の推移をみると10年前と比べて大きく下落していることが分かります。
直近2、3年はコロナ禍による外出自粛で大きく下がった2020年の反動もあって若干増加していますが、2019年の件数より低いか同程度です。
高齢者事故率推移
高齢者事故件数推移
それでは、なぜ高齢者の事故が実態よりも増えているように感じるのでしょうか?
その理由としては次の2点が考えられます。
高齢化で全事故に占める割合が増加している
日本は高齢化により高齢者人口が全人口に占める割合が増えています。
それに伴い、全事故に占める高齢運転者による事故の割合も増えています。
それゆえ、高齢者による事故が増えていると感じるのだと考えられます。
原付以上運転者(第1当事者)の全事故に占める第1当事者が高齢者の事故の割合
死亡事故に限定すると高齢者事故率が高く印象に残りやすい
死亡事故に限った場合、免許保有者10万人当たりの事故件数は高齢者が若年層を若干上回ります。
報道の取り上げ方としても報道を見聞きしたときの印象の残り方としても死亡事故の方が大きいことが考えられ、高齢者の事故件数が実態以上に多く感じられるのではないかと考えられます。
年齢別死亡事故率2023
死亡事故率 若者vs高齢者
自動車保険では26歳以上の中を6区分に細分化
自動車保険において、運転者年齢条件で全年齢補償よりも21歳以上補償、21歳以上補償よりも26歳以上補償の方が保険料が安くなるということは広く知られています。
事故率の高い年齢層を補償対象から外すことでリスクが減り、保険料を安くすることができるのです。
しかし、上で紹介してきた通り、高齢者になると事故率が上昇します。
こうしたリスクの違いを反映させるために、自動車保険では運転者年齢条件の26歳以上補償について、記名被保険者(契約車両を主に運転する方)の年齢に応じてさらに6区分を設けています。
※本内容は参考純率に関するもので、保険会社により取り扱いが異なる場合があります。
運転者年齢条件
まとめ
高齢者の事故が多いような印象を持っている方もいると思いますが、データから見ると10代や20代前半の方が免許保有者10万人当たりの事故件数は多くなっています。
高齢者の事故が多いような印象があるのは、高齢化に伴い全事故に占める高齢者による事故件数が大きくなっていること、死亡事故に限ると若年層よりも高齢者の方が免許保有者10万人当たりの事故件数が多く、印象に残りやすいことが考えられます。
また現在の車は運転支援、踏み間違い防止装置など安全面でメーカー側の対応も進んでいます。AIの発達により、今度魔ますます安全性を追求した車が出て来るでしょう。
運転支援は高齢者ばかりではなく、どなたをも安全に運転できる便利な装置ですが、特に高齢者のドライバーには推奨しておきます。義務化も検討してもよい位です。
そうすれは当然、価格に反映されるわけですから購入コストも上がります。そこで提案です。
今後ますます高齢者のドライバーが増えていきます。もはや高齢者の自動車事故は社会問題とさえ思います。
なので高齢者には安全運転支援システム導入を義務付け、そのかわり補助金を支給したらどうでしょうか?
若い方からは、高齢者からは運転免許証を取り上げろ!などと乱暴に云う方がいますが、それでは社会が円滑に回りません。しかもそう言うあなただっていずれ高齢者になるのです。
いずれにせよ大切なことは交通事故を起こさないことです。起こさないようなシステムを導入しましょう。
交通事故件数は年々減ってはいますが、それを途切れさせることなく継続させていけるようにしたいものです。