地球温暖化、氷塊融解のリスク!世界各地で氷河の融解が続いている。

氷河ダムの決壊で家がアラスカ川に転落
氷河ダムの決壊で家屋が倒壊したアラスカで、氷塊融解のリスクを考える
AP通信 アラスカ州ジュノ2023年8月9日
アラスカ州ジュノーで、ウェスト・アラスカの首都の住民は、10年以上にわたって定期的に起こる氷河ダムの決壊とともに暮らしてきた。
グレーシャー・トレイル沿いから垣間見たメンデンホール氷河。氷河はメンデンホール湖に向かって広がっている。
アラスカの首都に住む人々は、週末に少なくとも2軒の家を破壊したような氷河ダムの決壊と10年以上共存してきた。
しかし最近の洪水は、押し寄せるメンデンホール川が川岸を食い荒らし、家屋を損壊させ、何人かの住民を避難させるなど、水の動きの速さには驚かされた。
ここでは、氷河と雪氷ダムの決壊による洪水をめぐるいくつかの問題を紹介する。
ジュノーの洪水の原因は?
水は、スーサイド・ベイスンとして知られる、壮大だが後退しているメンデンホール氷河の脇の盆地から流れてきた。
この氷河は、春から夏にかけて、近くのスーサイド氷河からの降水や雪解け水が流域に集まるときのダムの役割を果たしている。
やがて水はメンデンホール氷河の下からメンデンホール湖へと湧き出し、そこからメンデンホール川へと流れ込む。
このような氷河ダムの決壊は2011年以来、この地域で発生しているが、多くの場合、水の放出はもっとゆっくりで、通常は数日間にわたると、アラスカ大学サウスイースト校のエラン・フッド教授(環境科学)は語った。
ジュノーは人口約3万人の町で、蛇行するメンデンホール川の近くには多くの住宅や人気のハイキングコースがある。
気候変動のせいなのか?
気候変動は氷河を溶かしている。
今年発表された研究では、現在の気候変動傾向の中で今世紀末までに著しい融解が起こることが示唆されており、また別の報告書では、ヒマラヤ山脈の一部の氷河が前例のない速度で融解していることが指摘されている。
しかし、気候の変化とジュノーで起きたような氷河決壊洪水との関係は複雑だと科学者たちは言う。
雨と雪解け水が集まる盆地は、以前はメンデンホール氷河に氷を供給していたスーサイド氷河に覆われていた。
スーサイド氷河のような小さな氷河は、気候の変化に対してより迅速に反応し、スーサイド氷河の後退は盆地を露出させた、とフッドは言う。
しかし、発生する洪水は「気候変動や氷河融解とは直接関係ない。
「この現象自体は気候によって引き起こされるものだが、個々の洪水は気候とは無関係である。」
これらの洪水はどの程度珍しいのか?
究者たちによれば、このような洪水は目新しいものではなく、世界各地で起こっており、全世界で約1500万人を脅かしているという。アイスランド語では「ヨクフラウプス(jökuhlaups)」と呼ばれている。
しかしアメリカでは、氷河決壊について考える人は多くない。
アメリカの氷河の大部分を有するアラスカでさえ、その多くは人里離れた場所にある。
氷河ダムの決壊の難しさのひとつは、その深刻さと時期が年によって異なることだと研究者たちは言う。
カルガリー大学の環境地震学者、セレステ・ラベッズは、氷河はダイナミックだと言う。
たとえば、長い間後退していたメンデンホール氷河が、気候の温暖化も手伝って融解を続けているうちに、いつの日か氷河が氷河流域をふさぐことがなくなり、氷河流域からの洪水が懸念されなくなる可能性もある。
しかし、新たな盆地が形成される可能性もある、と彼女は言う。
「氷河が薄くなり、後退し、変化するにつれて、洪水が起こらなくなることもあれば、新たな洪水が起こり始めることもあります。変動するシステムなのです」とラベッツは言った。
氷河が溶けると何が起こるのか?
洪水のリスクだけでなく、氷河の消失は世界の一部で水の供給が減少することを意味し、農業や観光業などに影響を及ぼす可能性がある。
アラスカは、山々やごつごつとした氷河が湖や海に流れ込む壮大な景観に惹かれる観光客にとって、バケットリストの旅行先である。
氷河はアラスカ州の約33,000平方マイル(85,000平方キロメートル)を覆っており、アラスカの氷河から失われる年間氷量は、テキサス州を10センチメートル(4インチ)覆い尽くすほどだと、米国地質調査所アラスカ科学センターのクリスチャン・ジマーマン所長は言う。
氷河の後退は、サケの生息地を含む生態系にも影響を及ぼす可能性があり、研究者たちはその解明を進めている。