米国の景気はスタグフレーションの前触れか?
円安が止まらない
米国が風邪を引けば日本も風邪をひく、とは昔からよく言われていることであるが、昨今の円安はとめどなく危うい。もしかすると風邪ではなく肺炎になるかもしれぬ。
先日、対ドル150円を突破、その数後147円まで戻した。政府日銀が介入したともいわれている。
しかしこんなことをしても焼け石に水であろう。
昨今の急激な円安は米国の景気過熱による金利高による。それと比して日銀は、景気刺激策、金融緩和をしている。
しかし米国の景気ももうすぐ頭を打つともいわれている。今後9カ月以内に景気後退に陥る可能性がある」と、債券王ジェフリー・ガンドラックが警告している。
格付会社フィッチは、「複数の逆風により2024年上半期は米国の消費支出が著しく減速する」と発表した。
一番やっかいなのは不動産バブルである。現在の米国の住宅価格は、リーマンショック前の住宅バブルのピークよりも内容が悪化している。
米国の世帯の中央値は、価格中央値の住宅を購入するために収入の43.8%を支出する必要があり、これは過去最高額であり、こんなバブルは長期に持続不可能であると目されている。
この前例のない住宅評価バブルは、米国の住宅不足によるものではなく、投機資金が住宅に流入しているからである。
この辺はチャイナの少し前と似ている。
結果は言うまでもなく見え見えだ。上がり詰めたら急落するだろう。
現在の米国経済ではすでにスタグフレーションが始まっている。という見方がある。すでに経済は減速しているが、金利は急上昇しているからだ。
貧富の格差
現在、米国の上位1%世帯の純資産は、1990年の全純資産の23%から32%に急増している。
悪性インフレは貧富の差の拡大をもたらし、過去最高レベルとなっている。
貧富の格差は犯罪を呼ぶ。
米ディスカウントストアを展開するターゲットは、スタッフ客の安全が危険にさらされており、閉鎖を余儀なくされているとして、米4州の9店舗を閉鎖すると述べた。ウォルマートも盗難を理由に店を閉鎖すると明らかにした。
2023年7月の米国の個人貯蓄率は3.5%で、パンデミック前の平均6.9%を大きく下回っている。米国ではクレジットカードの平均金利が21%にまで上昇している。それでもクレジットカード残高は過去最高の1兆ドル超に増加している。家計負債総額は17兆ドルと過去最高を記録した。
ここにきて、クレジットカードのデフォルト率は急速に上昇し、上位100の銀行で2.45%、その他の銀行で7.51%と過去最高水準に上昇してきている。
このまま金利が高止まりすると、さらに悪化する可能性がある。クレジットカード残高の急増は、消費者および企業の債務不履行の急増につながるだろう。
スタグフレーション
JPモルガンのジェイミー・ダイモンは、インドのタイムズ紙とのインタビューで、「世界は最悪のシナリオであるスタグフレーションの脅威に直面しており、その結果に対する中央銀行の金利の引き上げについては準備ができていない。
ウクライナ、石油、ガス、戦争、ヨーロッパなど、アジア、他のすべての国に影響をもたらすだろう」と警告した。
JPモルガンの著名ストラテジストであるコラノビッチは、「現在の状況が2007年から2008年と同じであるとは言えない」しかし、ストレスの兆候は現れ始めています。今回は遅れが長くなり、その結果、ソフトランディング、あるいはノーランディングという説が自己満足し、広く受け入れられる結果となっている」と、ソフトランディングシナリオに疑問を投げかけている。
米国経済に警鐘を鳴らし続けているピーター・シフは、「米国史上最大となる債券市場の暴落はまだ始まったばかりだ。
現在、米国経済が歴史上のどの時点よりも(政府、企業、個人より)活用されていることを考えると、来るべき経済・金融危機は前例のない規模になるだろう」と述べている。
「景気後退が1年後なのか、4年後なのかは問題ではない。いま準備を始めないとすると、景気が良い間はうまくいくかもしれないが、不況になるとそれによって得られる利益よりもその投資によってもたらされる問題のほうが圧倒的に大きくなるだろう」
陰謀論
陰謀論をあえて言うと、このバブルは、新型コロナによる政府支出が世界各国天文学的であり、その結果市中にだぶついた資金が引き起こしたと言えなくもない。そのことを考えると、世界的パンデミックを引き起こしたウイルスを、世界にばらまいた影のフィクサーがいたのかもしれない。その者は世界を牛耳る国際金融資本である。は、わたしの余談。