ドイツは欧州一高い電気料金に喘いでいる。
欧州一高いドイツの電気料金
ドイツは欧州の中で産業用電気料金が依然として最高水準で、製造業の低迷が続いている。
電力価格は2026年初頭で約1.01 EUR/MWh(前月比微減)だが、税込でEU平均超。再生エネ比率57%達成も、輸入依存と税負担が重荷になっている。
2023~2025年ころからドイツはマイナス成長が続き、鉱工業生産はウクライナ危機前の水準を5%下回る一方、企業は海外移転を加速させて産業の空洞化が進んでいる。
ドイツの電気料金が高止まりなのは、再エネ転換政策とそれによる原発の廃止、そしてロシアからの天然ガスが入らなくなったためである。
ロシアからの生ガスは、ノルドストリームの破壊が尾を引いている。露宇戦争で欧州が宇を支援しているためロシアから安いガスが入らなくなった。
これにより産業構造が大きく後退し、空洞化が進んでいる。化学・鉄鋼・自動車産業がエネルギーコスト高(ガス5倍、電気1.5~2.5倍)で投資を海外へシフトしている。
海外へシフトの主な事例
- BASF(化学): 国内11工場閉鎖、高エネルギーコストで競争力喪失。
- 自動車産業: VDA調査で72%が国内投資削減、28%が海外移転計画。雇用3分の2が削減。
- 中小企業: DIHK調査で40%が投資減、30%超が海外新工場検討。
- 日本: 一部化学・自動車企業が中国から日本へ再移転(在日ドイツ企業38%が検討)。
2023年欧州投資銀行調査で9割超が電力の高騰が投資阻害と回答している。それにしても折角ロシアと地続きでありながら生ガスが手に入らない。露宇戦争がキツイ。
<tablestyle=”width: 100%; “>
順位国EUR/MWh円/MWh (約)1イタリア10116,1602ドイツ86-10113,760-16,1603スペイン91.814,6884イギリス7311,6805オーストラリア(参考)–…フランス508,000
欧州主要国(産業用電気料金)の高い順は以下の通り(2025~2026年データ、EUR/MWhを1EUR=160円換算)。家庭用はさらに高めです。
欧州主要国と日本の家庭用電気料金比較
欧州主要国(ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリス)と日本を対象に、家庭用電気料金(kWhあたり)を最新データに基づき円換算でランキング化した。データは2025年後半~2026年初頭の平均。
| 順位 | 国名 | kWh単価 (円) | 備考 (ユーロ基準) |
|---|---|---|---|
| 1 | ドイツ | 72 | 0.394ユーロ/kWh (2024下半期、EU最高水準) |
| 2 | イギリス | 59 | 高止まり中 |
| 3 | イタリア | 60 | 再エネコスト影響 |
| 4 | スペイン | 45 | 中位レベル |
| 5 | フランス | 37 | 原発依存で比較的安価 |
| 6 | 日本 | 35 | 平均値、補助金影響で変動 |
データの背景
ドイツは再エネ比率の高さと税金で料金が突出。 日本は補助金終了後の値上げ圧力があるが、欧州より低め。 フランスは原子力中心で安定。 これらは税込家庭用平均値で、地域・契約により変動する。
注意点
2026年現在、欧州はエネルギー危機の影響が残り料金高止まり。日本は再エネ賦課金が上昇要因。 産業用はさらに差が拡大する。
電気料金を下げる手立て
ドイツの電気料金を下げる手立ては複数検討・実施されており、主に政府補助と規制緩和で対応していますが、抜本的解決には時間がかかる。
主要な対策
産業用電力価格上限: 2026年1月導入予定。5セント/kWh(約8円)を目標に補助金投入(年間15億ユーロ規模)。鉄鋼・化学など対象。
送電網料金補助: 2026年に65億ユーロ投入で使用料引き下げ。一般家庭で年100ユーロ、家電産業で大幅軽減。
ガス貯蔵賦課金廃止: 2026年1月から即時実施、総合軽減額年100億ユーロ。
ガス火力増設: 10GWの柔軟発電所を入札で整備(2045年までに水素転換義務)。供給安定化狙い。
課題
再生エネ賦課金(EEG)、CO2排出権取引、送電網税の構造的負担が残り、産業界は「EUレベルでの税制改革」を求めている。即効性はあるものの、国際競争力回復には原発再稼働議論や長期PPA(電力購入契約)拡大が必要。
では欧州は何処から天然ガスを調達しているのか?
欧州の天然ガス調達先は、2022年のロシア依存脱却以降、多様化が進んでいます。
現在(2026年2月時点)の主な供給国は米国、アルジェリア、ノルウェー、ロシア(LNG中心)で、パイプラインとLNG輸入が半々です。ロシアからのパイプラインはハンガリーやスロバキアはいまだ継続しているようだ。云うまでもなく、ハンガリーやスロバキアは。ロシアの天然ガスが入らなければ国を保てないからだ。このあたりは、EUと云っても一枚岩ではない。
欧州の天然ガス輸入国(2025年シェア)
| 国・地域 | シェア | 主な形態 |
|---|---|---|
| 米国 | 29.6% | LNG(圧倒的1位) |
| アルジェリア | 16.3% | パイプライン(イタリア・スペイン向け) |
| ロシア | 16.2% | LNG+残存パイプライン(2027年完全禁止予定) |
| ノルウェー | 約15% | パイプライン(北海ルート) |
| カタール・リビア等 | 残り | LNG |
傾向
- 米国LNG急増: 輸送費高でも安定供給でEU最大の命綱。
- ロシア減少中: 2021年の45%→2025年16%だが、依然トップ3。
- 課題: 在庫逼迫(ドイツ23%未満)と冬場価格高騰。
EUは2027年ロシア産完全禁止を目指し、ノルウェー増産・中東LNG拡大を進めているが、供給安定には米国依存が続く。
ウクライナを支援してる欧州がロシアからも買っている不思議
ドイツ(EU全体も)はウクライナ支援を続けながら、ロシア産天然ガスを16%程度輸入し続けています。
これは現実的妥協の結果で、完全ボイコットすれば産業崩壊必至のためです。
矛盾の理由
エネルギー現実: ロシア産LNG(ヤマルLNGなど)はパイプラインより高価だが、米国LNGより安価。即時代替不能。
EU制裁の抜け穴: パイプライン(ノルドストリーム)は停止、LNGは第三国経由で輸入可。
2027年完全禁止目標だが延期議論。
産業優先: BASFやVWなど大手が「支援より生存」を訴え、政府は補助金で両立を図る。
世論・政治
メルツ政権支持率低迷(2026年2月現在30%台)で、「ロシア和解派」が台頭。
産業界は「道義より経済」を主張、選挙で影響力拡大中。
理想と現実の板挟みです。ウクライナ支援は「正義」、ロシアガスは「生存」。この二枚舌がドイツの産業空洞化を加速させています。
もっと妥協して50%くらい入れればよいではないか!
この矛盾は欧州全体のジレンマです。ロシア産ガスを50%まで戻せば電気料金は劇的に下がりますが、アメリカが強く反対し、EUの法的・政治的枠組みでも実現不能です。
アメリカの反対理由
LNG市場保護: 米国はEUに年間1000億m³超を供給(欧州輸入の30%)。ロシア復帰で市場崩壊。
地政学的圧力: バイデン・トランプ両政権が「ロシア資金源=ウクライナ侵略継続」と批判。2026年2月現在、米EU首脳会談で再確認。
制裁執行: G7でロシア産エネルギー第三国経由輸入も追跡・制裁対象化。
EUの法的障壁
2027年11月完全禁止法: EU規則でパイプライン・LNGとも禁止確定。違反企業に巨額罰金。
加盟国合意: ハンガリー・スロバキアの反対あったが、ドイツ・フランス主導で可決。
現実的限界
仮にメルツ政権が50%復帰を試みても
EU離脱リスク(財政破綻覚悟)
米国LNGボイコット(即時供給停止)
産業界分裂(BASFは賛成、VWは米依存で反対)
「ロシアガス復活派」は産業界・AfD(極右)で勢力拡大中ですが、メルツ政権は2026年総選挙まで耐える戦略。電気料金は補助金でしのぎ、空洞化は加速します。
アメリカのイラン攻撃が起きればさらに燃料費が上がる
米国のイラン攻撃が起きれば、ホルムズ海峡封鎖リスクで原油・ガス価格が急騰(WTI70~80ドル超予想)し、欧州のエネルギー危機はさらに深刻化します。(日本も)
欧州は既にガス価格上昇(TTF先物が前週比15%高)を始め、産業停滞が加速中です。
欧州の対処策
戦略備蓄放出: EU全体で3ヶ月分(約900億m³)を緊急解放。即時対応だが冬場枯渇必至。
米国LNG全量受け入れ: 供給能力増強要請中だが、輸送ラグで2~3ヶ月遅延。
石炭火力フル稼働: ドイツは2038年目標を無期限延長、排出権購入で凌ぐ。
需要抑制令: 企業向け電力20%削減義務化(2026年2月決定)。工場停止・失業増。
最悪シナリオ
イラン原油生産停止(日量300万バレル)+ホルムズ混乱で、欧州ガス1MWh=100ユーロ超(現行60ユーロ)。化学・鉄鋼産業壊滅、GDP1~2%減予測。
トランプ政権の「速戦即決」が鍵ですが、イラン反撃で長期化なら欧州は耐えきれず、ロシアガス「裏輸入」再燃の可能性も。ドイツの空洞化は決定的になります。






















ドイツは欧州一高い電気料金に喘いでいる。
インドがフランスからラファール戦闘機を114機購入すると言っている。
「ニルス嵐の爪痕」ガロンヌ川の歴史的水害、赤色警報延長中
立川ブラインド工業の株価が、2月10日に爆上げした理由