日本に、失われた30年、ゼロ成長時代をもたらした「ザイム真理教」のドグマ

先日、財務省解体を叫ぶデモがニュースになった。
いうまでもなく財務省は、日本の予算をつかさどる巨大な組織です。
ここが健全に機能していないから、日本の失われた30年が始まった。
先進諸国の中で、わが国が唯一ゼロ成長だったのは財政の失敗と言って良いでしょう。
だって、お隣の韓国でさえ、1990年からの30年間でGDPは約6倍に成長しました。
それに比して日本の成長は殆どなかった。だから財務省の罪は大きいと言わざるを得ません。
もっとも政府が金を使わないなら、企業がどんどん投資をすればよかったのですが、それもなかった。
企業はグローバルスタンダード、価格破壊のシュプレヒコールの元に結集し、こぞって中国に進出した。
日本の成長すべき経済は、中国に輸出されてしまったのです。
オマケに、企業の内部留保は、2000年に200兆ほどだったものが、2023年には600兆円に膨れ上がっている。
つまりその分、国内の設備投資や人件費の伸びが小さいということになります。
ところが中国向けの投資だけは異常に増えていきます。
1990年代から日本企業による中国への投資額の推移は以下の通りです。
- 1990年代:具体的な数値は提供されていませんが、この時期から日本企業の対中投資が本格化し始めました。
- 2000年代:2007年に対中直接投資がピークを迎え、57億1,201万ドルを記録しました。
- 2010年代:2021年から2022年にかけて、対中直接投資が再び増加し、2年連続で過去最高を記録しました。
- 2020年代:2023年:対中直接投資は3,391億円で、日本の対外直接投資先の第14位となりました。
- 2024年:日本企業による対中直接投資は純額ベースで、2023年とほぼ同規模の低水準でした。
注目すべき点として、近年の日本企業の対中投資は減少傾向にある。
2023年の対中直接投資を業種別に見ると、製造業が54.7%減の2,005億円と大幅に減少した一方、非製造業は17.1%減の1,926億円にとどまった。
また、日本企業の投資先がシフトしている傾向も見られます。
2023年には初めてインド、ベトナム向け投資額が中国向けを上回っている。
企業が中国へシフトしてしまったから、政府が金を出してもそのまま中国へ向かったとも受け取れます。
ともあれ、財務省の罪がまったくないということにはなりません。
国内投資を増やすための立法や政策だって、考えればいろいろあったと思うのです。
財務省はただ居眠りをしていただけなのではありませんか?
さて具体的に言うと、財務省の決定的な罪は、国民に嘘を言ってきたことにつきます。
プライマリーバランス至上主義を掲げ、赤字だから金は使えない、増税しかない、と国民を洗脳したことです。
故・森卓さんが「ザイム真理教」と揶揄した理由がここにあります。
プライマリーバランスとは、税収と歳出のバランスを取る会計手段です。
国家の財政は、一般家庭の家計簿と同じと植え付けます。
赤字だから金は使えないと…
しかしこれをドグマにすれば、日本は永遠に経済成長できません。
これから新しく道路を造るのに、金を貯めてからでは国が発展しません。
先行投資はすべからず借金で賄うのが普通です。国借金は国債と呼ばれています。
そして財務省は、国債を借金として計上するから、永遠にプライマリーバランスは黒字化しない。
それを十分に知っていながら、あえて言うのはカルトと同じです。洗脳です。
国債は国民の借金だから、これからは金を使えない増税しかないという訳です。
無理やり黒字化しようとすれば、それは超緊縮財政にするしかないから、当然経済成長しない。
小さな政府をアピールする政府がこれに当たります。
つまり、赤字だから投資ができない、投資がないから経済成長しない。
この悪循環で生まれたのが「失われた30年」ということになります。
先に申した通り、「失われた30年」をもたらしたのは、財務省だけの罪ではありません。企業も同罪です。
しかし、それを主導してきたのが財務省と言うことになりますとより財務省の罪は重いです。
しかしこのプライマリーバランスのドグマを払しょくできればまた成長できる。
クレディ・アグリコル証券 チーフエコノミストの会田卓司氏によれば、今までのドグマを捨て、コアプライマリーバランスを採用すれば減税や投資ができるというものです。
会田卓司氏の言う、コアプライマリーバランスは建設国債を差し引いたものです。
たとえば、高速道路を作るのは建設国債を発行します。国債ですから借金ですが、高速道路を作ることによってその後長く経済効果がある。
そういう将来に富を得るための投資は、バランスシートから予め除いておく、と、言う考え方が、コアプライマリーバランスというものです。
私たちが住宅を購入するとき、長期ローンを組むのと似ています。
私たちが、3000万円のローンを組んだからと言って、緊縮財政を敷けば生活が成り立ちません。
昨今、米を初め食品の物価が高騰しています。しかし私たちの収入は追いついていない。
よってこのまま政府が財政出動しなければ、スタグフレーションまっしぐらです。
ところが政府は増税をちらつかせています。私立高校無料化はその後の増税を予感させます。
なぜ石破総理が増税派なのか?それは、石破総理が前総理岸田氏の傀儡と言われているからです。
岸田氏は、親戚に宮沢喜一、麻生太郎、元財務官僚の従兄弟を自民党税調会長に起用、ふたりの妹は、ともに財務官僚と結婚している。
さらに、親戚には財務官僚がずらりと並んでいます。「増税メガネ」というあだ名で呼ばれています。
このように財務省の閨閥に染まった岸田氏に、投資や減税ができるわけがありません。
ですからできるだけ早く、岸田の息のかかった石破に鈴をつけ誰かに替える必要があります。
が、ザイム真理教が内閣を牛耳っている限り、誰が総理になっても日本の経済再生はないでしょう。
財務省解体を急がねばなりません。