IT業界の深刻、2030年には人材が最大79万人も不足する!?
<
IT人材とは、上記5つの業界を中心に、ITの活用や開発に携わる人材を指す言葉です。
10年先も活躍できる人材になるためには、各業界で需要が増える技術、減る技術の動向を把握しながら、求められるスキルを習得し続けることが大切です。
このあたりが古来からの技術の修練とは大きく違う処ですね。
大工のカンナの使い方やノミの使い方など古くから伝わる技術を極めるのとは決定的に違い、IT産業は現在は無いプラットフォームやシステムを生み出すことです。今日の技術は明日には進化していなければならない、という事です。
IT業界の人手不足は決定的
近年、全業界の有効求人倍率が1.2倍~1.6倍ほどで推移している中、情報処理・通信技術者(ITエンジニア)の有効求人倍率は1.5倍~2.5倍程度で推移しており、IT人材の不足がうかがえます。
コロナ禍の影響で有効求人倍率がおおむね下がった2020年においても、ITエンジニアは1.5倍(全体は約1.2倍)です。
有効求人倍率から見た場合、ITエンジニアは確実に人手不足と言えます。
その一方、ネットなどで検索すると「IT業界の人手不足はウソ」という声も溢れています。
たしかに経験者が前提であったり、求められるスキルも高いため、ITエンジニア採用の敷居は決して低くありません。
なぜ人手不足の業界で、そんなに敷居が高いのか?という疑問もあるようです。
それはかねてから深刻なっている少子化と、IT業界の働き方に女性が登用できない理由があるようです。
IT業界では女性の就業率は僅か16%という事です。
なぜIT業界に女性が少ないのか?
それはそうですよね。わたしがいた会社の社内プログラマーの例ですけど、この仕事徹夜が当たり前だったですから。
ITの字術者、特にソフトウェア部門は、時間から時間までで予定されていた生産性が上がるという仕事じゃございません。
プログラムが完成しないと、翌日の会社の業務が寸断されちゃいますからどうしても無理しなくちゃなりません。
女性を登用したくても、子育てや家事に負担が多くなる女性は使いずらいという事になります。
もし女性が大切なプロジェクトに関わっているとしたら「子供が病気で今日は休みます…」こんなことが許されるはずがありません。
また、女性がこの仕事50%も登用されたとすると、益々少子化が進みます。
だって、子供を産んで育てる、なんてことはご法度になっちゃいますから。
わたし思いますに、そもそも少子化が問題だと叫んでいるくせに、女性の登用が少ない!と、どの口が言うのか?という事で、世でささやかれていることは矛盾だらけなのですね。
かといってこの分野に外国人労働者を当てるわけには参りません。
日本社会でIT技術でやってゆくことは、わたしたち日本人でも大変なスキルが必要です。
はっきり言って外国人には無理です。まして国が入れたいのは、安く使いたいという労働力ですから。
こういう訳で、IT技術者は、2030年には最大で79万人不足すると言われています。
経済産業省IT人材需給に関する調査
IT人材等育成支援のための調査分析事業)より抜粋
IT人材は、我が国の IT 産業の産業競争力強化を担うのみならず、今や広範な産業・企業における高度な IT 利活用や今後の競争力の源泉となるデジタルビジネスの進展を
担っている。
特に、AI やビッグデータを使いこなし、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として IT 人材の重要性がますます高まっている。
2030 年時点での IT 人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、生産性の上昇率が 0.7%の場合、需要が供給を16~79 万人上回ると試算され、需給ギャップの緩和に向けて生産性の向上を図る必要があることなどが示された。
また、IT 需要構造の変化に応じて、従来型 IT 人材から先端IT 人材へのスキル転換が進まない場合は、先端 IT 人材の需要が供給を上回る一方で、従来型 IT 人材は需要が供給を下回る可能性があることが示された。
IT 技術の発展に伴う IT 需要構造の変化が予見される中、IT 人材には、新たな先端技術への対応が求められている。
この対応が十分に実現されない場合、我が国の企業における高度な IT 活用やデジタルトランスフォーメーション(DX)の促進を阻害する可能性もある。
そのため、新たな先端技術に対応するためのスキル転換の取組のほか、教育機関における情報関連教育の拡充等を、より一層加速させる必要がある。
(以下略)
2030年には人材が79万人も不足する!
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」レポートでは、IT需要の伸びが中程度(2~5%)だとしても、生産性上昇率が0.7%の場合、2025年には36万人ほどが、2030年には45万人ほどが不足すると試算されています。
この経産省レポートからみても、IT人材が将来的に不足するのは決定的だと思われます。
そのような中で、先ほどの「IT業界の人手不足はウソ」という声が一部にあるのはなぜか?
その理由を経産省のレポートで探してみると、同レポートでは「先端IT人材」「従来型IT人材」という分類が考察されています。
「IT分野では、技術の進展が早く、人材に求められるスキル等も急速に変化するため、IT人材の需給は、IT需要の構造変化にも影響される。
特に近年、AIやビッグデータ、IoT等、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化等により生産性向上等に寄与できるIT人材の確保が重要となっている。」
これが「先端IT人材」です。
これに対して「従来型IT人材」は、「依然としてIT需要の大半を占めるものの、中長期的には徐々に市場規模が縮小すると予想され、従来からのIT需要に対応するIT人材の需要は減少すると見込まれる」とされています。
従来型IT人材は減少へ
経産省のレポートからは、人手不足が進行する「先端IT人材」と、今後、減少していく「従来型IT人材」という流れがみてとれます。
「IT業界の人手不足はウソ」という一部の声は、「従来型IT人材」というカテゴリーに軸足を置いて業界をみているのかもしれません。
先端IT人材についてさらに考えると、この先端IT人材とは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)人材」と同義と考えて間違いないでしょう。
DXではよく「攻めのIT」「守りのIT」という言葉が使われます。
これは米調査会社ガートナーが2015年に提唱したバイモーダルITの概念が元ネタで、攻めのITとは“ビジネスを変革(トランスフォーメーション)するIT”を意味します。
それに対して「守りのIT」とは、既存システムの保守など従来型IT人材がカバーする分野になります。
そしてDXの本質は、「守りのIT」から「攻めのIT」への転換なのです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは
DXが最初に提唱されたのは2004年のこと。
もともとDXとは、スウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマン氏が主張した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念のことを指します。
近年では、一般的に「最新のデジタル技術を駆使した、デジタル化時代に対応するための企業の変革」という意味合いのビジネス用語として使われています。
なお、先述の「DX推進ガイドライン」では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と、より詳細に定義しています。
企業がDXに取り組むべき理由
なぜいま、日本の企業には、DXの推進が求められているのでしょうか。企業がDXに取り組むべき理由は、主に次の3つです。
1. 既存システムの老朽化・ブラックボックス化
1つ目の理由は、「2025年の崖」と呼ばれる現象と関係しています。
DX推進ガイドライン策定に先がけて、経済産業省が2018年にまとめた報告書「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(以下、DXレポート)によると、多くの企業において、既存のITシステムの老朽化、ブラックボックス化が起きているといいます。
ブラックボックス化とは、カスタマイズを繰り返したためにプログラムが複雑化した状態、システムを構築した担当者が退職したなどにより、システムの全貌が解明できなくなった状態のことです。
DXレポートでは、このように老朽化、ブラックボックス化した既存システムが、新しい事業展開に対応できない、保守・運用のためのコストがかさむといった問題を生み、DXの推進を阻んでいると指摘しています。
同レポートには、さらに、企業がこうした既存システムの問題を解消できない場合には、2025年以降、日本経済に年間で最大12兆円(現在の約3倍)の損失が生じる可能性があるという衝撃的な内容も記されました。これがいわゆる「2025年の崖」です。
成長を追い求めることは企業の経営者にとって優先事項の一つですが、既存システムを使い続けている限り、これ以上の成長を見込むことは難しいでしょう。
「2025年の崖」を目前に控えたいま、システムの刷新を含むDXは、ほとんどの日本企業において無視できない重要な課題です。
2. 消費行動の変化
2つ目の理由は、消費者のマインドや行動の変化です。近年、消費者の多くが、商品そのものを買うことよりも、商品やサービスを購入することで得られる体験の質を重視するようになってきました。いわゆる「モノ消費」から「コト消費」への移行が進んでいるのです。
また、近年では、余っているものや場所を無駄にせず、みんなで共有して使うという新しい価値観と消費の形が生まれました。
カーシェアリングやシェアサイクルといったシェアリングエコノミー型のサービスが人気を集めています。
今後は企業もこの流れに対応して、消費者に価値あるコトや魅力的で特別な体験を与えられるような、新たなビジネスモデルを模索しなければなりません。
そのためには、システムはもちろん、業務や組織全体をも変革する必要があるのです。
3. デジタル化によるビジネス環境の激変
3つ目の理由は、DX推進ガイドラインにおけるDXの定義でもふれられている「ビジネス環境の激しい変化」です。
あらゆる分野で、デジタル技術を駆使した革新的なビジネスモデルを展開する新規参入者が登場し、既存の産業を揺るがす「デジタルディスラプション」と呼ばれる現象が起こっています。
たとえばamazon.com(アマゾンドットコム)は、巨大なプラットフォームを構築して本や音楽CDをオンラインで買うという新たな買い物スタイルを生み出し、それまで店舗での販売を中心に展開していた書店やCDショップに打撃を与えました。
アメリカのUber(ウーバー)やAirbnb(エアービーアンドビー)も、デジタルディスラプションを起こした企業として知られています。
ウーバーは、スマートフォンアプリやWebサイトを使って、一般の登録ドライバーと、車で目的地まで移動したいユーザとをつなぐ配車サービスです。
エアービーアンドビーは、ウーバーの不動産バージョンともいうべきもので、アプリやWebサイトを通して、空き部屋を貸したいホストと部屋を借りて宿泊したい旅行者とをつなぐサービスです。
いずれも先述のシェアリングエコノミーの代表例ですが、自社では車や建物を所有せず、すでに誰かが所有しているのに使われていない車の座席や部屋を活用した点が画期的でした。
ウーバーはタクシー代わりに、エアービーアンドビーはホテル代わりに使われるケースが多く、タクシー業界やホテル業界をおびやかす存在になっています。
このように、人々の価値観を覆し、新たな生活スタイルをもたらすような製品やサービスが次々と生まれ、ビジネス環境が大きく変わりつつあります。
そのなかで既存の企業が生き残るためには、DXの推進が不可欠だと考えられているのです。
自社が身をおく業界でデジタルディスラプションが起こってからでは、もう手遅れかもしれません。
どの業界・企業においても、変革は急務といえるでしょう。
求められるIT技術者の分類
インターネット・Web業界で求められる人材
インターネットを利用してサービスを提供するをインターネット・Web業界と呼びます。
インターネット・Web業界のサービスは多岐にわたり、私たちの生活に密接に関わっているサービスが多いのが特徴です。
この業界では、スマートフォンが普及したことで、スマートフォンのアプリケーションの開発と技術革新が進んでいます。
私たちの生活には欠かせないアイテムとなったスマートフォンやモバイルに関わるサービスは、さらに加速していくことは間違いないでしょう。
今後この業界では、ユーザーの使い勝手の良さを考えられる、UI/UX分野に精通した人材の需要が高まると考えられます。
また、トレンドを読み取るセンスや情報処理能力も重要です。さらにデータ分析やアクセスツールの使い方など、マーケティングの知識があると有利になるでしょう。
Webエンジニアには、高度なセキュリティ対応能力と、言語の知識・フレームワークやライブラリを使いこなすスキルが求められます。
たとえばフロントエンド領域であれば、HTML、CSS、JavaScriptだけでなく、React.js・Vue.js・Next.js・Nuxt.jsといったフレームワークを押さえておく必要があるでしょう。
情報処理サービス業界で求められる人材
情報処理サービスの企業は、システムインテグレーター(SI)と呼ばれ、情報システムの設計、開発、運用、保守を行います。
企業の業務系システムだけでなく、金融機関や公共交通機関などの、大規模なシステムを請け負うこともあります。
通信処理サービス業界で求められるスキルは、情報システムや業務系システムを行う上で重要な、お客様のニーズと課題をヒアリングする能力とコミュニケーションスキルです。
この情報処理サービス業界で、最近急上昇しているのがIoTです。
IoTが発展・普及することで、今後さらに求人が増えると考えられます。また、ビッグデータを活かせる人材の需要も高まるでしょう。
通信業界で求められる人材
通信業界は、電話やインターネット、光ファイバー、無線などの通信インフラを扱う業界を指します。
2020年以降の通信業界の大きなトピックスは、次世代の通信システム5G。5Gは、IoT、VR、ARといった先端技術の実用化に欠かせないものです。
ゆえに、5G関連の知識を持っているWebエンジニアは、即戦力として需要が高まっています。
通信業界は、常に最先端の技術が導入される業界のため、この先も継続的なスキルアップは必須になります。
ソフトウェア業界で求められる人材
ソフトウェア業界では、WindowsやMacOSなどのオペレーティングシステムや、WordやExcelなどのアプリケーションシステムを扱います。
スマートフォン上のアプリケーションの設計や開発を行う業界でもあります。
ソフトウェア業界では、スマートフォンの普及により、多種多様なアプリケーションが次々と開発されています。
今後も新しいソフトウェアの開発が行われる中で、幅広い知識、高いプログラミングスキルが、よりいっそう求められるようになるでしょう。
ハードウェア業界で求められる人材
ハードウェアとは、パソコンやスマートフォン、周辺機器のことを指します。
このハードウェアの設計、開発、販売を行うのがハードウェア業界です。
ここ最近は、タブレットなどのモバイル端末の需要が増加してきており、モバイル端末関連のアプリケーション開発ができる人材が求められています。
たとえば、OSおよびプログラミングツールのスキル、OSに依存しないHTML5アプリケーションでは、HTML5のスキルが要求されます。
求められるスキルを持ったIT人材を目指す
IT業界には、さまざまな事業や職種があり、技術やサービスの進化にともない、IT業界全体が複雑化しています。
そうした中で共通して言えるのは、最新技術への対応力が重要であることです。
IT業界で求められるスキルは常に変化しています。
現在持っているスキルを維持するだけでは、人材不足のIT業界であっても、需要がなくなってしまうリスクがあるのです。
IT業界で需要のある人材となれるよう、最新技術を学び続けるようにしましょう。
お仕事ガイド
- Webデザイナー・UI/UXデザイナー
- フロントエンドエンジニア・コーダー
- Webディレクター・Webプロデューサー
- Webマーケター
- システムエンジニア・プログラマ
- Webオペレーター・Webサイト運営
- サーバー・ネットワークエンジニア
- DTP・グラフィックデザイナー
参考資料
・IT人材需給に関する調査(経済産業省、2019年3月)
・DXレポート ~ ITシステム『2025年の崖』克服とDXの本格的な展開~(経済産業省、2018年9月7日)